歯科におけるアンチエイジングの役割。
アンチエイジング(抗加齢医学)は、病的な老化を防ぎ、心身ともに健康に生きるための医学です。このようなアンチエイジングと歯科(歯)は大変関係の深いものです。
歯の老化は、歯の磨耗が進むとともに、主に歯周病や虫歯が悪化して最終的に歯を喪失することです。
歯を失うことで、食物を咀嚼できなくなり必要な栄養を体に取り込むことができなくなります。歯はこのように本来、命の根幹なのです。そして歯は食べ物を噛み砕くだけではありません。心身ともに健康に生きるためのたくさんの役割があります。
よく噛むことは健康にとっていいことがたくさんありますが、その一つが唾液のパワーを引き出すことです。
【唾液のすごいパワーを紹介】
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消化吸収を助ける。
唾液に含まれる消化酵素のアミラーゼが、でんぷんの消化を助けます。また噛み砕かれた食べ物を唾液が包み込むことで、有害な成分を和らげ胃腸での分解を助けます。 -
発がん物質の作用を弱める。
唾液に含まれるぺルオキシダーゼが、食物中の発ガン物質を消去する働きを持ちます。 -
細菌を抑制する。
唾液に含まれるリゾチウムやラクトフェリンは、口の中に入った細菌やウイルスの働きを弱め身体を守ります。また、口の中を洗い流し清潔にすることで、虫歯や歯周病口臭を予防します。 -
活性酸素を消去する。
唾液中のペルオキシダーゼが多くの病気、そして老化の原因になる活性酸素を消去する働きがあります。 -
味覚を助ける。
唾液に含まれるガスチンというたんぱく質が、味覚を敏感にして食べ物の味を楽しませてくれます。 -
唾液ホルモン。
唾液に含まれる唾液ホルモンの働きにより、全身の新陳代謝を活発にして若々しさを保ちます。また脳細胞の成長を助ける働きがあり老化を抑制します。若々しい美肌や明晰な頭脳を保つのに唾液が役立っているのです。
このようにすばらしい働きのある唾液は、噛めば噛むほど分泌が促進されます。
それには、しっかり噛める歯や義歯が必要です。
噛むことが脳の活性化を表す脳血流を増加させることがわかっています。
また、咀嚼(そしゃく)は手や指の運動よりも脳血流を増加させ、硬い食物の方がやわらかい食物よりも効果のあることがわかっています。噛むことは記憶に関わる脳を活性化するだけではなく、情動、すなわち人間らしい感性や情緒感をつかさどる脳の部分も活性化します。
このように、噛むことは脳のアンチエイジングにとても役立っています。
脳の血流障害は、アルツハイマーや脳血管性の疾患を引き起こします。それらを予防するためにも噛むことは非常に大切です。歯を失わないようにすることは脳を老化から守ることにつながります。
ストレスが加えられると脳内の活性酸素の量が増えますが、噛むことで活性酸素が減少することが確かめられています。噛むことで活性酸素を減らし、ストレスを解消することができるのです。
よく噛むことで老化の危険因子である肥満を防止することができます。
よく噛めば脳の「満腹中枢」が刺激され、脳内ヒスタミン神経系が賦活(ふかつ:元の健康な状態にする)されることで食欲が抑制されます。同時に内臓脂肪の分解、燃焼が促進されます。
内臓脂肪症候群は「メタボリックシンドローム」と呼ばれ動脈硬化を進行させ、その結果、心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわる 病気になったり、その後遺症で不自由な生活を強いられる危険性が高くなります。よく噛んでメタボリックシンドロームを予防しましょう。
よく噛んでゆっくりと食事をすると、唾液に含まれるIGFという物質がインシュリンと同じような働きをして、糖尿病の予防と治療効果を高めることができます。
咀嚼機能が向上すると、全身の運動能力を上げる効果があります。よく噛むことで背筋が1割〜2割くらいアップすると言われています。良い姿勢を保つためにも良く噛むことは大切です。
噛むという刺激が歯から顎の骨に伝達され、さらに顔の筋肉を介して頭全体の骨に伝達されていきます。このような刺激が細胞を活性化して顔の骨や筋肉を丈夫にして、若々しい容貌を保つことにつながっています。
この他にも噛むことの効用には、視力低下の予防、免疫力の向上、骨粗しょう症の予防などが報告されています。
以上の効果ように、噛むことは心身を健康にし、アンチエイジングに大変、貢献しています。
しかし、よく噛める歯と正しい噛み合わせがあって初めて「よく噛める」のです。歯を失うことの影響は口の中だけにとどまらず、全身に様々な老化現象を引き起こします。歯を失わないように守ることが、若くイキイキと生きるための基本条件と言えるのではないでしょうか。
次に口の中から始める積極的なアンチエイジングとはどのような事か説明したいと思います。
人は血管とともに老いると言います。そして、動脈硬化は血管の老化現象です。
これまで動脈硬化はコレステロールや中性脂肪の蓄積が主な原因とされてきましたが、最近では慢性的な炎症が原因の1つに挙げられるようになりました。多くの人が持っている慢性炎症が歯周病です。歯周病菌が血液に入ると体は異物とみなし、体を異物から守るために血液中の白血球(単球)がこれを捕まえて取り込んでいきます。それが血管の内側の細胞に吸収されて蓄積し、血管内壁が厚みを増して動脈硬化の原因になると考えられています。
また、歯周病菌が体内に入ると、白血球が活性酸素を放出して歯周病菌を溶かして体を守ります。しかし、慢性の歯周病があると、常に過剰な活性酸素が発生することになり、これが問題を引き起こします。過剰な活性酸素は血管をはじめ全身の細胞を酸化、サビ付かせ病的な老化現象が加速していくのです。
もう1つ歯周病と関わりの深い病気に糖尿病があります。
糖尿病は血行障害と血管損傷を引き起こし動脈硬化の大きな危険因子です。
歯周病の腫れた歯肉からの炎症物質(毒素)が全身をめぐり、血糖値を下げるインシュリンの働きを妨げてしまうのです。それによって血液中に糖があふれ、血糖値が下がらなくなり糖尿病に陥ってしまいます。歯周病の治療は糖尿病の発症予防と治療の効果を高めることに必要なことです。
このように歯周病治療は病的な老化現象を抑制し、身体を若々しく保つことに直結しているのです。
従来から歯科の治療では、虫歯の処置として金属を詰めたり被せたりということが何の抵抗もなく行われてきました。このような歯科金属には合金というかたちで多くの金属が含まれていますが、その中には有害金属といわれる金属も少なくありません。歯科で特に問題になるのは水銀です。
有害金属を代表する水銀は、かつてアマルガムという詰め物の材料として多く用いられてきました。現在も30歳以上の方の口の中には詰め物としてよく見られるものです。水銀などの有害金属が体内に増えると活性酸素が大量に発生し、さらに体の抗酸化力を大幅に下げてしまいます。このことがガンをはじめ多くの病気のベースになり病的な老化の原因になると考えられています。歯科金属には水銀以外にも有害金属として、スズ、ニッケル、パラジウムなどがあります。
有害金属の汚染源は、野菜や魚介類などの食品、水道水などですが、歯科金属は口の中という金属が溶け出しやすい環境に365日、四六時中、存在すると言う意味では大きな問題です。
体の中に蓄積した有害金属を排出し、動脈硬化の改善、心臓病や脳梗塞の予防を目的とするキレーション治療がありますが、口の中から水銀をはじめとする有害金属を取り除くオーラル・キレーションという考えは、歯科からのアンチエイジングにはとても大切なことです。
活性酸素が体内で過剰になると、全身の細胞が傷つけられ、病的な老化の原因になります。また、活性酸素が直接、あるいは間接的な原因となっている病気は全疾患の90%以上にも及んでいます。
活性酸素の発生原因は、細菌やカビ、紫外線、化学物質、放射線、有害金属など様々です。
人間には本来、過剰な活性酸素を除去する抗酸化力が備わっています。しかし、年齢とともにこの力が弱まり、さらにストレスでも弱まってきます。
ご自分の身体の中の活性酸素の量と活性酸素と戦う力(抗酸化力)を測定して、健康状態をチェックすることが大切です。
吉田歯科クリニックでは、歯科医院としては全国で数件しかない医療機関として、FRAS4(活性酸素・フリーラジカル自動分析装置)を導入しています。
指先からほんの少しの血液を採取するだけで、酸化ストレス度と、抗酸化力を20分程で知ることが出来ます。
FRAS4
血液採血の様子
検査結果から生活習慣の改善、食事、サプリメントの補充などをご説明いたします。
日本歯科医師会のホームページのアクセスで一番多いのが口臭についてのものです。
いかに口臭を気にしている人が多いかがわかります。口臭が気になると人とのコミュニケーションを避ける傾向がでてきます。社会や人とのかかわりが少なくなることは老化を早める原因になります。
また、最近では口臭の匂いのもとになる物質、揮発性硫黄化合物がガンの増殖、転移を助長すると言われるようになりました。このように口臭は心身両面を侵す疾患です。社会の中で、若々しくイキイキと生活するために口臭を予防することは、アンチエイジングの大切な要素です。
口元の美しさを保ち、また回復していくことは、歯科がアンチエイジングに貢献できる一番の分野です。歯はしっかり噛めて食べられれば、それだけでいいというもではありません。虫歯で変色した前歯や加齢によって黄ばんだ歯は、口元を暗くしてしまいます。
現在、歯科の審美治療は非常に進歩しています。セラミックやレジンを用いた天然歯とまったく見分けの付かない歯を再現することができますし、漂白することで自然な白い歯にすることもできます。また、きれいな歯並びにするための矯正治療も、材料の進化で年齢にあまり関係なく行うことができるようになりました。
口元から白い美しい歯が見えれば、見た目に若返るだけでなく、自然と笑顔になり幸せな気持ちになって、生きるエネルギーが湧いてきます。美しい歯は自信を生み、ポジティブな生き方につながります。口元の美しさは心のアンチエイジングです。
このように、「しっかり噛めること」は全身の健康を増進し、歯科の治療がアンチエイジングに貢献できることがたくさんあります。歯の健康とアンチエイジングには大変重要な関係があるのです。



